憧れの業界に就職できた、その先の話
私が就職活動をしたときの話 に続きまして、
情熱のみで無謀な就活をした結果、学歴的にも能力的にも厳しい憧れの業界に何故か入れてしまった私が、その後どうなったかについて。
入社してみて
憧れの業界には入れたけれど、希望の職種には配属されませんでした。
でも、いずれ異動できる可能性もあるし、まずは配属された部門で頑張ろうと思いました。
そこでの評価が良くないと、異動もさせてもらえないと思ったし。本来やりたかった仕事とまったく縁がない訳でもないので、なんとか近い仕事をしつつ実績を作ろう、とも思ってました。
でも、残念ながら、全然ついていけなかったんです。
なんというか、周りが何について話しているかわからない。部会に出てもフランス語の会話を聞いているような感じ(多少聞きかじれる英語じゃなくて、フランス語ね)。
なんというか、基礎学力も足りないし、専門性がわりとある分野だったのに、専攻ともまったく違うので、もうまったく意味が分からず。
それなら先輩を見て、とか本を読んで、と思ったんですが、仕事に直結するような書籍がほぼない上に、一応指導係でついてくれた先輩がすごく賢い方だったんですけど、早口すぎてなにも聞き取れない。しかも、理解できないことが理解できない、という感じの対応で会話もまったくかみ合わず…。
その他の社員の方も、割とみんな冷淡な感じで、話しかけやすい雰囲気の人、ゼロ。
(全体的に、みんな忙しいのか挨拶とか雑談もなし)
でも、OJTという名の下に実戦投入されるのはめちゃくちゃ早かったので、当然のように迷惑をかけまくり、叱責される、口を聞いてもらえない。そのうち、質問したり声をかけるのも怖くなってきて、というひどい悪循環でした。
胃が痛くてお手洗いで吐いたり、意味も分からず対応しようとして、終電帰りが続いて高熱を出したり。正直言って、本来やりたかった仕事に移るためにはどうしたらいいか、なんて考えるどころではありません。
ホント、この会社にいる資格ないかも、とか間違って入っちゃったのかな、とか、憧れと情熱だけで突っ走っていけると思っていたけど、自分に高望みしすぎてたのかも…とか申し訳ない気持ちでいっぱい…。
もう、この場で生き残っていくにはどうしたらいいかを考えるだけで必死でした。
しばらくして(2~3年目)
なんだか無茶苦茶な状態の1~2年目でしたが、だんだん状況が変わりました。
比較的、頭を使って自分で手を動かしてナンボ、の仕事だったので、見よう見まねでやってみたことがたまたまうまくいって、すごく嬉しくなったり(細々と達成感と成功体験を得られるようになった)。
その頑張りを見てくれた人もいて、別に親切に指導してくれるとかではないのですが、「こんな風にしたくて、このアプローチで考えているけどちょっとうまくいってなくてどうしたらいいか」、みたいな相談に乗ってくれたりするようになったり。
一部分でも認めてくれて、見てくれている人がいることがすごく嬉しかったなぁ。
あと、一応、絶対に自分の担当の仕事は投げない、もし取れそうな仕事があれば全部取る、のスタンスでいたので、相変わらずものすごい勤務時間でしたが、少し前向きな気持ちになれて、頑張ることが楽しくなっていった時期でした。
そのうちに(3、4年目~)
とにかくガムシャラに仕事をしているうちに、気がついたら、周囲の会話もフランス語ではなくなり、普通に理解できるようになりました。
というか、さして高度なことを話してるわけでも全然無かった。過度にびびってたとわかったりした笑
普通に対等に会話も仕事もできるようになったので、そう人間関係面でもつらい思いをすることはなくなりました。なんていうか、みんな割と不器用で、あまり人と話すのが得意でなかっただけなんだなぁと思ったり。(気づいたら、社交的だとか言われるようになってた。不思議)
この頃は、どんどん自分の出来ることが増えていって、世界が広がっていくような気がして、毎日楽しかったです。
すごく仕事が多くて忙しかったけれど、出来ることがあって、役に立てているという感覚が生まれました。居場所を得られたような気持ちになっていました。
この頃から、評価もかなりよくなり、良い上司にもめぐり合え、思ってもいなかった仕事に抜擢されたりして、自分の中で努力と成果が結びついてきたと思えた時期でした。
そして(~7年目現在)
結局異動できるタイミングは来ませんでしたが、その頃にはあまりもともとの志望職種に異動したいとは思わなくなっていました。
5年目あたりから、いままで頑張ってきたことをすべてゼロにして、他の仕事をするのはなんだか残念だな、ここでもっと上を目指したいな、という意識になっていました。
あと、偶然だったのですが、私(ともう一人)しかできない仕事、というのが出来てしまい、実質的に異動が難しくなったのもありました。
(もっと裾野を広げたいんだけど、何故だかみんな嫌がったり、放棄してしまう…楽しいのに)
今から思うと、憧れとガムシャラさだけで飛び込んで、入ってからは居場所がないような焦燥感に突き動かされて頑張っていた気がします。
それでも、本来やりたくなかったような仕事でも、一生懸命やってみれば、楽しさがみつかるんだなぁ、というのは私には大きな発見でした。
(適応力がある、と会社では言われていますが、私は心持ちの問題のような気がする)
能力的に他の社員の方より優れているとはまったく思わないのです。話していて、バカの壁(自分側に)を感じることもたくさんあるし。
私と同じような感じで、本来は別の仕事がしたかったのに私の部門に配属になった後輩が何人かいるんですが、彼・彼女らは早々に異動したり、退職したりしてしまったので、
きっと私はたまたまある程度適性がある仕事だったのだろうし、偶然が重なってポストが空いたりとか、よい仕事・上司・環境にめぐり合えて、運が良かったところもたくさんあると思う。
でも、どんな仕事をしていても、楽しさが見つけられたり、楽しさを作り出せるのって、けっこう大事な能力なんじゃないかなぁと感じています。
会社員である以上、自分の思い通りの環境になる確率は低いし、むしろ、求められている仕事をこなすことで給与をもらっているわけで、会社側からすれば、個人の満足感や希望は本来関係ないはずなんですよ。
仕事で自己実現、みたいにのめりこむ気持ちにはあまりなるべきではなかったな、と今は思います。
やりたいことをするよりも、役に立てるかどうか、必要とされる成果を残し続けることのほうが、社会人としては重要なように思います。
やりたいことができなくて辛い、という人もいるけれど、それならやりたいことができる環境を作り出すしかないわけで…。
私は割とすぐに方針転換してしまったので、そもそも当初持っていた憧れや情熱がさほど強いものではなかったかもしれないけれど。
なので、これから就活をする人には、やりたいこと、やってみたいことをベースにするのもとても大切だけれど、なんでもとりあえずやってみよう、という姿勢でいて欲しいな、と思います。
妙に固執するとだんだん辛くなってくるし、実際、外からみた仕事と、実際入ってからのこと、また自分に向いている、向いていないはかなり乖離しているものなので。
終わりに
最後に、普通レベルの大学をなんとなく一緒に卒業した私の友達たちや、同じ業界を志望していた友達がどうなったかについて。
<事務職OLになった人たち>
「総合職ー?私にはムリムリ。長く働くつもりないし、一般職が良いな」みたいな感じで、私の友達の大半はあまり深く考えていないようでした。
その後、何年かして、年収や待遇にとても差がついてきたりして(一般職は定期昇給が年に千円しかないのに、総合職だと1万円あるとか)、うまく結婚できた子は良かったけれど(大企業の一般職だと、子供がいても続けやすいようです)、そうでもない子はなかなかしんどい状況になってきていたりします。
お給料的に親元からも独立できず(せず)、でも仕事を続けずらい状況になっていたりもするので、将来が不安だという声をよく聞きます。
<一緒に憧れの業界を受験した人たち>
私は運よく入社できた例でしたが、そうでもない友達もいます。その子はアルバイトから業界に入り、契約社員→中小の社員→割と大きいところの社員と、転職を繰り返していてステップアップしているようです(待遇や労働条件もかなり厳しいようですが、ステップアップはしている)。
今も、当初の情熱や憧れ、好きだ、やりたいという気持ちを持ち続けているのは純粋にすごいことだし、めげそうになることも多いようですが、私はいずれはもっと条件のいい会社に移るだろうと思っているし、それだけの能力をどんどん身に着けているなぁと言う印象です。
その他にも、サラッと業界最王手に入社したような優秀な友人が何人かいましたが、ストレートにそのまま活躍している人もいれば、パワハラやセクハラにめげて、退職した人もいます。
そもそも激務といわれ勝ちな業種なので、やる気だけではついていくことが難しく、体調面に不安を抱えてめげるケースもけっこうあるような…。
まだまだ入社7年目、過程の段階にいるので、この先どうなるかは私にもわかりません。
全然違う状況になったりするかもしれないし。
でも、当初思った社会人生活とは違ったけれど、私は今の仕事に満足しているし、前向きな気持ちで働けて幸せです。
まとめ
- 学生当時にやりたいと思ったことには固執しないほうがいいです
- 気が向かない状況でも、とりあえず一所懸命やってみる姿勢が大切
- あまりやりたいことが見つからない人は、条件面で仕事を選ぶのも大切。なにかあったときに、労働条件や賃金のよさは、色々な助けになります(初任給だけでなく、昇給額や手当なども大事。就職四季報には30歳時の平均年収なども載っています)。
- 情熱や憧れ、やる気だけでは仕事はできません。学生のときは、この仕事にさえつければ幸せ、と思いがちだけど、人間の体力や気力には限界があります。
- (根拠はありませんが)やりたいことができる幸せ、よりも、役に立てる、認めてもらえる幸せのほうが、満足度や充実度が高いように思います
- 何かであることよりも、どうするかが大事。例えば、テレビ局プロデューサーになりさえすれば幸せ、ではないです。自分の時間があって、友人や恋人と充実した時間を過ごすことの方が大切です。激務を続けると、だんだん若くなくなって来た時に身に染みてきます…
長々と語ってしまって恐縮です…。
↓ 働きやすさを重視して仕事を選んだほうがいいですよ~
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