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こじらせ女子のつまらない出来事

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映画『ニシノユキヒコの恋と冒険』 感想

映画

 
映画『ニシノユキヒコの恋と冒険』予告編 - YouTube

 

川上弘美の原作が大好きだったもので、映画も見てきました。

映画のストーリーはこちら

大日|ニシノユキヒコの恋と冒険|イオンシネマ より引用

イケメンで仕事もしっかりこなし、とにかく女に優しい希代のモテ男ニシノユキヒコ(竹野内豊)は、ひたむきに本当の愛を欲していた。10年前に人妻(麻生久美子)と関係を持ち、元恋人(本田翼)と二股で会社の上司(尾野真千子)と職場恋愛に至り、料理教室で出会った主婦(阿川佐和子)もとりこにしてしまうなど、彼の周囲には常に女性たちがいた。彼女たちの欲望を満たすべくひたすら尽くすニシノだったが、最終的にはみな彼から離れていってしまい……。

 

真実の愛を求め恋愛遍歴を重ねる男ニシノユキヒコの生きざまを描く、芥川賞作家・川上弘美の連作短編集を映画化したラブストーリー。美男で仕事も順調、女性の扱いもうまい究極のモテ男だが、必ず相手から別れを告げられる主人公を竹野内豊が切なく演じる。メガホンを取るのは、『人のセックスを笑うな』が好評だった井口奈己。ニシノを取り巻く女性たちには尾野真千子成海璃子木村文乃麻生久美子阿川佐和子ほか豪華女優陣が出演している。

 

 冒頭、人妻のナツミさん(麻生久美子)とその娘みなみが、海辺のカフェ(おそらく鎌倉)でニシノユキヒコ(竹野内豊)と3人でデートするシーンから始まります。

「もう会えないのね」といいながら、テーブルの下のニシノユキヒコに足をからめるナツミさん。白い首筋と耳にかけた黒髪が異様に綺麗です。

本当は結婚して、女の子をつくって、幸せになりたいのに、というニシノに、そんなのあなたには無理よね、と笑い飛ばすナツミさん。

不機嫌な顔をしてパフェを食べるみなみ。

 

時は移り、車にはねられて死亡したニシノユキヒコの幽霊(?)が、成長したみなみのもとを尋ねるシーンから始まります。

母、ナツミはもうみなみと父のもとから姿を消していて、みなみはずっと母はニシノと出奔したのだと思っていた。

ニシノは自分が死んだら、ナツミさんのもとを尋ねる約束をしていたから、と答えます。

幽霊のニシノに連れられ、ニシノの葬儀にむかうみなみ。

参列者は女性ばかりです。

貧血で倒れそうになったところを介抱してくれた親切な夫人(阿川佐和子)から、ニシノの過去の恋愛遍歴を聞きはじめます…。

 

 

まず、映画としては「あまり面白くない」かもしれません。

尾野真千子の演技がとにかく光っているので、その心情の動きとか、本田翼とのバチバチとか、見所はあるんですけど、肝心なニシノユキヒコの掘り下げがイマイチで、イケメンだもんねー、かっこいいもんねー、もてるけど優柔不断でみんなに優しいんだねー、で終わってしまう。

私は原作を読んでいたので補完しつつみていましたが、連れはなんだかストーリーがはっきりわからなかったらしく、「でも、久しぶりに見たけど竹野内豊ってすごいカッコイイよねぇ」みたいな感想でした。

 

以下、若干のネタバレを含みます。

 

ニシノユキヒコはとても女の人にもてるし、他人の気持ちに敏感で、女性が望むことを察知できるので、簡単に関係を結ぶことが出来ます。

けれど、どうしても心が満たされない。他人を愛するという次元に持っていくことができず、それが自覚的であるようでなく、ひどく彼女を傷つけ、去っていかれてしまいます。

原作は連作短編集なのですが、ニシノユキヒコが他人を愛せない(内心愛したくないと思っており、それを自覚できない)原因については、ちらほらと示唆されています。

ああ、これはある意味源氏物語への応答であるのかな、などと思いながら楽しめるのですが、これらの部分が残念ながら映画では削除されており、ストーリーとしてはドラマチックであった幾篇かで構成されているので、なんだが主題がぼやけてしまっています。

その空虚さの中で、なにか充たしてくれるものを生涯追い求め、いよいよ適わなかった、原作小説にあった、ちょっときゅっと苦しくなるような読後感がなくなってしまっているのが少し残念でした。

 

でも、尾野真千子の演技は素晴らしいし、竹野内豊はかっこいいし、かわいい女の子がイチャイチャしてる感じもなかなか素敵で、あまりテレビではみることができない表現をしているところもあり、間延びしたフランス映画のような雰囲気もあるので、なかなか楽しめる面も多々ありました。

でもちょっと残念、ちょっと惜しい、かな。

原作小説は、容赦なくオススメします。

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)

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